2024年の香港映画を振り返る
今年の香港映画界のトピックは、『破·地獄(ラスト・ダンス)』が歴代興行成績トップの記録を塗り替えたことでしょうか。
ちなみに、12月8日時点でHK$127,090,289(香港影業協會リリースより)。今年の金像奨でグランプリに輝いた2023年の『毒舌大狀毒舌弁護人〜正義への戦い〜)』を越えたわけですが、どちらも主演は黄子華(ダヨ・ウォン)です。
今年2位の話題のアクション大作『九龍城寨之圍城(トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦)』も、歴代12位という好成績。オスカー外国語映画賞に香港代表でエントリーされました。
監督は安定のブランド鄭保瑞(ソイ・チェン)、"ザ・香港映画"の邱禮濤(ハーマン・ヤウ)が2作ランクインしているのもうれしいですが、『我談的那場戀愛(ラブ・ライズ)』の何妙祺(ホー・ミウケイ)や『12怪盜』の何國敏(ベリー・ホウ)はデビュー作。
さらに『破·地獄(ラスト・ダンス)』の陳茂賢(アンセルム・チャン)、『焚城』の潘耀明(アンソニー・プン)、『臨時劫案(臨時強盗)』の麥啟光(アルバート・マック)、『飯戲攻心2』の陳詠燊(サニー・チャン)は3作目くらいですから、今後が頼もしい限りです。
俳優では、人気グループMIRROR、大活躍の劉俊謙(テレンス・ラウ)は台湾でも映画・ドラマに出演し、新世代のリーダーとして楽しみしかありません。
もちろん第一線で香港映画界を牽引する古天樂(ルイス・クー)、郭富城(アーロン・クォック)、林家棟(ラム・カートン)、劉青雲(ラウ・チンワン)、吳鎮宇(フランシス・ン)らに加えて、張學友(ジャッキー・チュン)が久々に映画にもどってきたのもうれしいニュースでした。
そして、興行成績トップ10のほとんどが日本で見られたことは、とってもありがたいですね。
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★2024香港映画興行成績ベスト10
1.『破·地獄(ラスト・ダンス)』
パンデミックと不況のためにウェディングプランナーの仕事が立ち行かなくなり、葬儀社に転職した男をダヨ・ウォンが演じるドラマ。
監督:陳茂賢(アンセルム・チャン)
出演:黄子華(ダヨ・ウォン)、許冠文(マイケル・ホイ)、衛詩雅(ミシェル・ワイ)
※東京国際映画祭、香港映画祭2024で上映
2.『九龍城寨之圍城(トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦)』
1980年代、無数の黒社会が野望を燃やし覇権を争っている香港の九龍城砦(きゅうりゅうじょうさい)での命を賭けた戦いを描くアクション。
監督:鄭保瑞(ソイ・チェン)
出演:古天樂(ルイス・クー)、洪金寶(サモ・ハン)、任賢齊(リッチー・レン)
※東京国際映画祭、香港映画祭2024で上映、1/17より公開
3.『焚城』
放射能災害を題材にしたパニック・アクション映画。700万人の命が危険になるという未曾有の危機に、専門家や消防士らが立ち向かう。
監督:潘耀明(アンソニー・プン)
出演:劉徳華(アンディ・ラウ)、白宇(バイ・ユー)、莫文蔚(カレン・モク)
4.『飯戲攻心2』
6人仲間のの2人がそれぞれ結婚し、盛大な式を挙げることになったが、準備の時からてんやわんやの大騒ぎが始まる。
監督:陳詠燊(サニー・チャン)
出演:鄧麗欣(ステフィー・タン)張繼聰(ルイス・チョン) 王菀之(イヴァナ・ウォン)
5.『盜月者』
東京と香港を舞台に国宝級腕時計を巡って繰り広げられる犯罪アクション映画。香港の人気グループ、MIRRORのメンバーが主演の一角を担う。
監督:袁剣偉(ユエン・キムワイ)
出演:盧瀚霆(イーダン・ルイ)、呂爵安(アンソン・ロー)、姜濤(ギョン・トウ)、白只(バイ・ジー)
※2024年3月に大阪アジアン映画祭で上映され、11月に公開
6.『12怪盜』
人気グループMIRRORのメンバー全員で初めて主演する作品。それぞれ様々な特技を持つ12人の天才怪盜が重大な任務を負うが、チームワークがバラバラで…。
監督:何國敏(ベリー・ホウ)
出演:MIRROR
7.『臨時劫案(臨時強盗)』
両替所を襲う強盗事件から展開するクライムアクションコメディ。郭富城(アーロン・クォック)の予想外のキャラ作りが話題に。
監督:麥啟光(アルバート・マック)
出演:郭富城(アーロン・クォック)、林家棟(ラム・カートン)、任賢齊(リッチー・レン)
※香港映画祭2024で上映
8.『談判專家』
アメリカ映画『交渉人』のリメイクで、派手なカー・チェイスや銃撃戦満載の娯楽活劇。監督としても有名な彭秀慧(キーレン・パン)の演技が高評価。
監督:邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
出演:劉青雲(ラウ・チンワン)、吳鎮宇(フランシス・ン)、姜皓文(フィリップ・キョン)
9.『我談的那場戀愛(ラブ・ライズ)』
マッチングアプリでロマンス詐欺にあった中年女性と青年のラブコメ。呉君如(サンドラ・ン)が愛の喪失と孤独を熟練の演技で魅せる、コミカルで後味爽やかな再生の物語。
監督:何妙祺(ホー・ミウケイ)
出演:呉君如(サンドラ・ン)、張天賦(マイケル・チャン)、陳輝虹(チャン・ファイフォン)
※香港映画祭2024で上映
10.『海關戰線』
正統派のポリスアクション映画。香港税関に摘発された大量殺傷武器密輸の真相を暴くために、税関警察の主人公とその部下が国際刑事と共に海外で捜査を展開。
監督:邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
出演:謝霆鋒(ニコラス・ツェ)、張學友(ジャッキー・チュン)、林嘉欣(カリーナ・ラム)
◆東京国際映画祭上映作品
『お父さん』(原題:爸爸)2024年 香港
香港電影金像奨を受賞した『九龍猟奇殺人事件』(15)など、リアリズム・タッチの作品で知られるフィリップ・ユンの最新作。家族を殺害する事件を起こした息子と対峙する父親の苦悩を描く。
監督:翁子光(フィリップ・ユン)
出演:劉青雲(ラウ・チンワン)、谷祖琳(ジョー・コク)、蘇文濤(ディラン・ソウ)
※参照
http://www.asianparadise.net/2024/11/post-7a2b09.html
http://asianparadise.sblo.jp/article/191171608.html
『赦されぬ罪』(原題:不赦之罪)
名優アンソニー・ウォンが牧師に扮し、罪と罰をめぐって葛藤する濃密なドラマ。最愛の娘を死に至らせた犯人の青年が出所して教会に保護される。復讐の念に燃える父と神の赦しを説く牧師の立場に引き裂かれた苦悩の果てに…。
監督:林善(ジェフリー・ラム)、譚善揚(アントニオ・タム)
出演:黃秋生(アンソニー・ウォン)、蘇玉華(ルイーザ・ソー)、歐鎮灝(ジョージ・アウ)
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(原題:九龍城寨之圍城)
香港映画歴代NO.1大ヒット!
1980年代、無数の黒社会が野望を燃やし覇権を争っている九龍城砦(きゅうりゅうじょうさい)での命を賭けた戦いを描くアクション。
監督:鄭保瑞(ソイ・チェン)
出演:古天樂(ルイス・クー)、洪金寶(サモ・ハン)、任賢齊(リッチー・レン)
※参照 http://www.asianparadise.net/2024/09/post-db49ec.html
『ラスト・ダンス』(原題:破.地獄)
パンデミックと不況のためにウェディングプランナーの仕事が立ち行かなくなり、葬儀社に転職した男をダヨ・ウォンが演じるドラマ。香港映画界の伝説的スター、マイケル・ホイが共演。
監督:陳茂賢(アンセルム・チャン)
出演:黃子華(ダヨ・ウォン)、許冠文(マイケル・ホイ)、衛詩雅(ミシェール・ワイ)
『母性のモンタージュ』(原題:虎毒不)
香港で平凡に暮らしていたスジンは、母となり日常が一変。どう暮らし、自分はどうあるのかを見つめ直さなければならない試練の渦に巻き込まれる。
監督:陳小娟(オリヴァー・チャン)
出演:談善言(ヘドウィグ・タム)、盧鎮業(ロー・ジャンイップ)、彭杏英(ジャニス・パン)
※参照 http://www.asianparadise.net/2024/11/post-6af395.html
◆大阪アジアン映画祭上映作品
『盜月者』
東京と香港を舞台に国宝級腕時計を巡って繰り広げられる犯罪アクション映画。香港の人気グループ、MIRRORのメンバーが主演の一角を担う。
監督:袁剣偉(ユエン・キムワイ)
出演:盧瀚霆(イーダン・ルイ)、呂爵安(アンソン・ロー)、姜濤(ギョン・トウ)、白只(バイ・ジー)
※2024年11月に公開
※参照
http://www.asianparadise.net/2024/09/post-043eac.html
http://www.asianparadise.net/2024/03/post-990be4.html
http://asianparadise.sblo.jp/article/190815300.html
『作詞家志望(原題:填詞L)』(香港、台湾)
作詞家になりたかった黃綺琳(ノリス・ウォン)監督自身の青春時代をもとにした自伝的映画。
作詞の才能があると信じた女子高生が、その後10年間、あらゆる手を使って作詞家になろうと奮闘する姿を描く。
監督:黃綺琳(ノリス・ウォン)
出演:鍾雪瑩(ジョン・シュッイン)、葛民輝(エリック・コット)、陳毅燊(アンソン・チャン)、吳冰(サブリナ・ン)、鄧麗英(タン・ライイン)、潘宗孝(アーネスト・プン)
※参照 http://www.asianparadise.net/2024/03/post-c6fbea.html
『全世界どこでも電話(原題:全個世界都有電話)』
中国返還から25年の香港を舞台に、携帯電話をキーアイテムとして香港人の切なる願いをポップに描いた群像劇。
監督:黃浩然(アモス・ウィー)
出演:周國賢(エンディ・チョウ)、韋羅莎(ロサ・マリア・ヴェラスコ)、陳湛文(チャン・チャームマン)、蔡思韵(セシリア・チョイ)
※参照 http://www.asianparadise.net/2024/03/post-f3a86b.html
『雲と人生(原題:人生一嚿雲)』
人工の雲を作ることに夢中になってしまった男が夢の中で急死し、目を覚ますとあの世行きの飛行機に。雲作りに意義があったと判定されれば、天国に行けるという。彼は自分をよく知る5人を判定員に選んだのだが…。
監督:陳惠沂(ワイリー・チャン)
出演:朱栢康(ジュー・パクホン)、岑珈其(カーキ・サム)、駱振偉(ソー・ロック)、余安安(キャンディス・ユー)、黎玉清(ライ・ヨッチン)、
『烈火青春 <4Kレストア版ディレクターズカット>』
ルイの従姉妹で、日本に留学していたキャシーが帰ってきた。自由奔放な彼女はプール監視員のトムを虜にするが…。80年代香港の伝説的青春映画が蘇る。
監督:譚家明(パトリック・タム)
出演:張國榮(レスリー・チャン)、夏文汐(パット・ハー)、葉童(セシリア・イップ
『潜入捜査官の隠遁生活』
潜入捜査官として活躍した女性が退いて目立たぬよう暮らしていたが、正義感の強い娘が内緒で空手を習い困った人を助ける”空手少女”と話題になりある事件に巻き込まれ…というアクション映画。
監督:高子彬(リッキー・コー)
出演:謝安琪(ケイ・ツェ)、鄧月平(ラリーン・タン)、陳毅燊(アンソン・チャン)、鄭丹瑞(ローレンス・チェン)
※参照 http://www.asianparadise.net/2024/03/post-39fa70.html
『スウィート・ライム』(香港、イギリス)
パキスタンから来たおばを母親と空港へ迎えに行った11歳の少女は、帰りの車中で寝たふりをしながら2人の会話を聞いてしまう。子供の無邪気さと大人の現実の狭間で戸惑う少女の心を、インド・パキスタン系香港人の監督が繊細に描く。
監督:ファティマ・アブドゥルカリム
出演:ナムラタ・ビンドラ、ヴァンディタ・チュガニ、ディーヴァ・チュガニ
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コメント
「モニカ」、台湾映画に続いて香港映画でも口ずさまれましたね。
投稿: しんや | 2025/01/17 07:40