「第二回Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭」オープニングはドキュメンタリー映画『青海原の先ー牡丹と琉球の悲歌』
「Cinema at Sea」をコンセプトに、優れた映画の発掘と発信を通じて、各国の文化や民族、個々人の相互理解を深めること、地元ビジネスを支援すること、そして地元の才能あるアーティストの作品を広く発信することを目指す「第二回Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭」が、2025年2月22日(土)〜3月2日(日)に開催されます。
そのオープニング作品が、ドキュメンタリー映画『青海原の先ー牡丹と琉球の悲歌』に決まりました。
本作は1870年代に起きた「牡丹社事件」を題材にしたドキュメンタリーで、監督は台湾出身の胡皓翔(ション・フー)です。
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1871年、宮古島から年貢を納めるために首里へ向かっていた船が暴風雨に遭遇し、南台湾に漂着しました。
この船には琉球人69名が乗船しており、彼らはパイワン族が住む地域に到達しました。しかし、パイワン族の一部がこれらの琉球人を殺害するという事件が発生。この事件は後に「牡丹社事件」として知られるようになります。
この事件は単なる地域的な紛争に留まらず、日本の台湾侵攻(1874年の台湾出兵)を正当化する口実として利用されました。さらに、この事件をきっかけに清国がパイワン族と交渉を行い、日本が琉球を併合する流れに繋がるなど、東アジアの地政学に大きな影響を与えました。
今年は牡丹社事件の150周年にあたり、5月に屏東県牡丹郷では150年記念行事が行われた典が開催されました。
宮古島市も代表者を派遣し祭典に参加。その後、11月に牡丹郷からも宮古島を訪問し、交流協定覚書を締結するなど、沖縄と台湾側双方がこの悲劇を乗り越えるため、和解の歩みを続けています。
たった一つの遭難船事故がどのように東アジア地域の政治地図を再形成したのか?
本作は、貴重なアーカイブ資料や専門家と遺族によるインタビュー、再現ドラマ映像を用いて、沖縄と台湾の歴史的な繋がりを掘り下げた力作であり、地域文化と記憶を鮮やかに描き出しています。琉球王国と台湾の先住民族との運命や対立に焦点を当て、海を越えて人々が繋がる物語を繊細かつ力強く描き出した作品です。
本作は、胡皓翔監督が七年間かけて製作し、日本と台湾の学者や専門家、さらに宮古島と牡丹郷における牡丹社事件の遺族の皆様の協力によって完成しました。
胡皓翔(ション・フー)監督コメント
2018年から始まった創作の旅の中で、私は何度も漢民族、先住民、そして琉球の友人たちと向き合いました。彼らの眼差しには真摯な思いが宿っており、繰り返しこう念を押されました。
「監督、どうかこの歴史を多くの人に伝えてください!」
そのため、このドキュメンタリーがCinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭のオープニング作品として上映されると聞いたとき、心の底から感動しました。この映画祭こそ、この歴史を世界に伝えるのに最もふさわしい舞台だと感じています。
この歴史は、過去100年近くにわたる琉球と台湾の運命に深い影響を与えましたが、政権の変遷によって歴史教科書には十分に記録されることがありませんでした。そのため、多くの人々がこの土地の物語を断片的にしか知らないのが現状です。もしご自身の過去に興味をお持ちであれば、ぜひこのドキュメンタリーをご覧ください。時間に埋もれた足跡をともに探る旅へとご案内します。
第二回Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭 概要
【正式名称】 第二回Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭
(2nd Cinema at Sea - Okinawa Pan-Pacific International Film Festival)
【主 催】 特定非営利活動法人Cinema at Sea
【開催期間】 2025年2月22日(土)〜3月2日(日)
【開催会場】 那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール、桜坂劇場、沖縄県立博物館・美術館等、那覇市内を中心とした会場
【実施内容】 コンペティション作品上映、特集上映、トークイベント、沖縄環太平洋映画インダストリー他
【公式サイト】https://www.cinema-at-sea.com/
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コメント
読んだ本に似ている 琉球が日本に吸収された事有のひとつにされたのには 考えさせられる
投稿: abaser | 2025/01/13 18:06