『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』アクション監督・谷垣健治が舞台挨拶!
公開中の大ヒット香港映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦(原題:九龍城寨之圍城)』の舞台挨拶に、アクション監督・谷垣健治が登壇、ライター・編集者のギンティ小林とともにトークを展開しました。
本作は、1993年に解体された香港・九龍城地区に作られた城塞「九龍城砦」を舞台に繰り広げる男たちの義と情のアクション巨編。第77回カンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーンにて上映され、世界中の映画ファンから大喝采を浴びました。
このアクション監督をつとめた谷垣健治が終始、身振り手振りをまじえてエネルギッシ ュに語ったトークイベントのオフィシャルレポートが届きましたので、ご紹介します。
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聞き手を務めるライター・編集者のギンティ小林に名前を呼ばれて現れた谷垣健治は、客席から登場。映画を見終えたばかりの興奮が客席か ら伝わるなか、観客を熱狂させたクライマックスのシーンについての質 問からトークが始まった。
主人公であるチャン・ロッグワン(陳洛軍)が単身、九龍城砦に乗り込み、窮地に立たされた彼のもとに次々と仲間が集まるが、「あのシーン は(撮影の)最後のほうに撮ったんですけど、この映画のアクションの色合い、リアルなところに落ち着かせるのか誇張させるのか、というのがだいたいわかってきて、キャラも読めてきた頃」と撮影終盤だったと振り返る。
空間を活かしていろんな場所から登場させたいと思っていたそうで、当初(テレンス・ラウ演じる)信一はバイクで建物の奥から来る予定だったが「上から来てもいいかな」と思い、「最初のロケハンの時、(スタッフに)
『ちょっと飛ぶ?』って聞いたら、『いや、飛ばないっしょ〜』って(笑)」。
だが、電線や盂蘭盆会(うらぼんえ)のセットなど、いろいろな物がセットに追加された結果、奥からバイクがやってくるのが難しくなったという。
そこで再度谷垣が「上から来るかな?」と尋ねたところ、スタッフは「来るっしょ、そりゃ! 飛ぶよ、信一は!」と準備が進むにつれて気持ちも高まってきたようですんなり賛成、バイクで上から登場するという名シーンが誕生したという。
「飛ぶでしょ、エンディングだから!ってモードに(スタッフが)みんな変わって。信一がなんで上からバーンとくるかというきっかけもほしかった。ただ単に来ただけだったらかっこつけたかっただけに見えるけど人を潰すために来たっていう。潰すでしょ、そりゃ(笑)」と谷垣が話すと、客席は賛同を示すように大爆笑。
ロッグワンら4人が顔を揃え、複雑な九龍城砦内で縦横無尽に繰り広げられるアクションシーンについては、「それぞれバラバラに撮っているけど向かっているのは一つの場所。でも位置関係が分からなくなって迷子ですよ。カメラマンに聞いたら『どっちでもいい』と(笑)。
バラバラだけど気がついたら都合よくみんな揃っているというふうにはしたくなかった。つながりがほしかったんです」と語る。
そこで生まれたのが、上から室外機が落ちてくるシーン。
「上でチャン・ロッグワンが戦ってる時に足場にした室外機が落ちて、それがちょうど戦ったばかりの人たちのところに上から落ちてきたら、つながるんじゃないか。
そうすると『上だ!』と行くのが僕らにとっても説得力になるし、モンタージュとしてつながりが出せたらいいなと思ってました」と谷垣の言葉を聞いて、ギンティ小林が「立体的なステージを存分に活かしたアクションが堪能できました。ガンガンと落ちてきた室外機を見上げる彼らを見たときに現実にドンキーコングがあった らこんな感じかなと思いました(笑)」と笑うと、谷垣は、「立体的というのはまさにおっしゃるとおり。僕はいつも撮影の中盤になると、アクションのなかで『これいいカットだな』と思うのを並べて適当に音楽を入れてみるんです。
今回もそれを作ってソイ・チェン監督に送ったら「面白い」と。ただ、面白いけど高低差があるといいよね、と
いう話に」なり、それが形勢逆転のきっかけとなるラストのシーンが生まれるアイディアにつながったのだとか。
また、4人で相手の手足をそれぞれに持ち、何度も地面に叩きつけるシーン については、ソイ・チェン監督から「ティッシュみたいに人を殴りたい」という希望があったと明かす。ふわふわと舞うような動きにするため、ワイヤーを付けてサッカーのリフティングのようなことも試したが、なかなか上手くいかなかったのだそう。
「カット割りしたくないし、カットを割れば成立することを見せてもしょうがない。何かないかな?」と考えた結果、芸人のビッグスモールンのネタをヒントに、4人で相手の手足をそれぞれに持つという“技”に。ちなみに、アクションは実際にやっているが、下にはマットを敷いており、CGでマットを消して いるのだとか。
終盤では映画の公式Xで募った観客からの質問に答えた。
「俳優ごとにどんなアクションが得意なのか見抜くコツを教えてください」という質問には、
「得意なものというのは、だいたいやってると分かる。受け身したり、蹴りは高く上がるか、パンチはどうかなどを見るなかで特性はある。(四仔を演じた)ジャーマンは元からアクションが得意で、彼と初めてやったのは『スーパーティーチャー』(2018)。
例えば刀を振ったりは何日か練習すれば形になるけど、蹴りは難しいので、彼に頼みました。
信一(を演じたテレンス・ラウ)はものすごく体が柔かくて、柔軟性があるのでそれを活かせないかな、とか」と答えた。
さらに「サモ・ハンやジャーマン・チョンなど、 ご自分でアクションを指導できる俳優へのアクションの指示について、どのようにされるのか教えてください」という質問には「サモ・ハンに指示なんかしないですよ(笑)」と即答し、アクション監督でもあるサモ・ハンに、「とりあえずやってみてくれ」と谷垣が言うとサモ・ハンは黙って頷くのだそう。
「一つだ け言われたのは、膝より高い蹴りはつくるなと(笑)。あとはなんでもやると。僕もファンですから、サモ・ハンの刀とか、棒術も見たいじゃないですか(笑)。『狭いところで長い棒って活きると思うんで・・・』と理屈をつけたんだけど単純に棒術が見たかった(笑)」と笑った。
最後に、「これを観た香港の人たちは『俺たちの映画だ!』と。あの時代を楽しんでくれるお年寄りのリピーターもいました。み んなで記録作るぜ!と盛り上げてくれたのを感じました。
日本でも、盛り上げてほしいです。だからここに来た人たちは一人ひとり、使命感を持って伝えてほしいです(笑)」と谷垣がコメントし、場内は拍手でそれに応えた。
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦(原題:九龍城寨之圍城)』 監督:鄭保瑞(ソイ・チェン)
アクション 監督:谷垣健治
音楽:川井憲次
出演:古天樂(ルイス・クー)、林峯(レイモンド・ラム)、劉俊謙(テレンス・ラウ)、伍允龍(フィリップ・ン)、胡子彤(トニー・ウー)、張文傑(ジャーマン・チョン)、任賢齊(リッチー・レン)、 ケニー・ウォン、郭富城(アーロン・クォック)、洪金寶(サモ・ハン)
2024年/香港/125 分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:九龍城寨之圍城/PG12
配給:クロックワークス
公式 HP https://klockworx.com/movies/twilightwarriors/
X:@totwjp
絶賛公開中
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