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2025/03/31

大阪アジアン映画祭 香港映画『ラスト・ソング・フォー・ユー(原題:久別重逢)』梁禮彥(ジル・リョン)監督インタビューとQ&A

0331jil4 大阪アジアン映画祭で上映された香港映画『ラスト・ソング・フォー・ユー(原題:久別重逢)』の上映後に、梁禮彥(ジル・リョン)監督によるQ&Aが行われ、その翌日インタビュー(Podcastリンクは下部)をしました。
この作品は香港の長州を舞台にしたラブストーリーで、『イップ・マン 継承(原題:葉問3)』『イップ・マン 完結(原題:葉問4)』『SPL 狼よ静かに死ね(原題:殺破狼)』ほかアクション映画の脚本家として活躍してきた梁禮彥の監督デビュー作です。
鄭伊健(イーキン・チェン)とMIRRORの陳卓賢(イアン・チャン)が共演していることでも話題になり、日本の高知県でも撮影が行われました。

※写真はクリックすると別ウィンドウで拡大表示します

まずは、Q&Aの模様からお伝えします。

Q:脚本家としてアクション映画が多かったのに、監督デビュー作をなぜこのような作品にしたのか。
監督「20年くらいアクション映画の脚本を手がけてきましたが、アクション映画にも人間ドラマがあります。私はラブストーリーやファンタジー、音楽が好きなので、監督第一作はこの3つの要素を取り入れようと決めていました」 

Q:ストーリー作りについて
0331jil3 監督「脚本家としての20数年間の考えや体験をもとにしてストーリーを作りました。私は夜脚本を書いて良くできた!と思っても、翌日に読み返すとダメだ、この繰り返しです。自信を失ったり世の中に対して失望したり、その繰り返しをずうっと感じていました。
そんな中で、子供の時の自分と会えればその時のエネルギーや栄養素を吸収することができるのではないか。子供の時は自由でしたから、そういう感覚を取り戻せれば今の自分の役に立つのではないか、過去の自分との対話によって自信を取り戻すという試みでした。
そして何より大切なのは、周りに居る人間です。自分の中の純粋さを見つけてくれたり、愛してくれたり、そういう人を大切にすることが自信を取り戻す事ができるのではないかと思います」

Q:音楽を担当した陳光榮(チャン・コンウィン)について
監督「イーキンとこの物語について話し合っているときに、陳光榮を紹介してくれました。彼に音楽家としてどういうときにインスピレーションがわくのかとか、自信を失うのかなど知りたいと言うと、とても喜んでくれて、色々な体験を聞かせてくれました」

Q:だるま太陽とヒロインの心情について
0331jil2 監督「このシーンは、脚本執筆の最初の頃に書いていました。だるま太陽というのは蜃気楼なのです。実際に存在しないもの。見えるけど存在はしていない。
主人公が若いときにある曲を半分作って、大人になっても完成していない。その心理を表しています。美しいだるま太陽は心の中の太陽。
ヒロインと会った時にふたりでCDを聞くシーンがありますが、そのCDジャケットに太陽が描かれています。だから太陽はとても大事だと思い、二人の感情の象徴だと捉えていました。二人にとって太陽はとても重要な意味を持つのですが、実はこの撮影は容易ではありませんでした。高知県で撮ったのですが、9日間の滞在期間は毎日良い天気でしたが、なぜかこのシーンの撮影の時は曇り。神様は意地悪だと思いましたが、それも運命かも知れない。脚本は好天と悪天候の時でどういう出来事になるのか2バージョン書いていました。世の中に完璧なものはない、これはヒロインの気持ちと符合している。彼女は、自分で40才前後で生涯を終わるのではないかという思った時、やるせなさとなぜ世の中は不公平なのだろう怒りも沸きました。太陽はそういう象徴として描きました。人間は誰も未来の事はわからない、なぜ不公平なのか理由もわからない。二人が同じような気持ちを抱え、じゃあ何ができるのか、空を見上げて夕陽を見る。そういうところでふたりの気持ちが通じ合っている。そういうことを考えながらこのシーンを書きました。
この若いふたりのシーンは、すべて香港の長州で撮りました。ぜひ訪れてみて下さい」

0322jil そして、翌日のインタビューでは、ラブストーリー、ファンタジー、音楽という3つの要素による作品作り=監督の夢を実現する経緯や、キャスティング、そして長州ロケでは車が入れないので、機材は全てクルーが手持ちで運んで移動したエピソードなどを伺いました。
また、プロデューサーとしてサポートしてくれた葉偉信(ウィルソン・イップ)監督について、感謝の思いをこめて熱く語って下さいました。

長州ではロケ地ツアーも行っていて、取材準備の時に広東語通訳さんとして大阪アジアン映画祭に縁の深いSophieさんが参加したというレポートを読みました。
このツアーの団長は、長州で撮影した作品が多い黄浩然(アモス・ウィー)監督。何か撮影の協力もされたのかと思って聞いてみたのです。
黄浩然監督は長州に住んでいてこの映画を撮りおわった後に、色々お話しをしたということでした。

Sophieさんのロケ地レポートはとても面白いので、ご了解をいただきリンクを貼らせていただきます。
ぜひご覧になってください。
https://note.com/sophie_bl_hk/n/na4f45c9267cc

そして、梁禮彥監督のインタビューをPodcast配信しましたので、ぜひお聞き下さい。

http://asianparadise.sblo.jp/article/191302525.html

『ラスト・ソング・フォー・ユー(原題:久別重逢)』
原題:久別重逢/英題:Last Song For You
監督:梁禮彥(ジル・リョン)
出演:鄭伊健(イーキン・チェン)、陳卓賢(イアン・チャン)、 許恩怡(ナタリー・スー)、 蔡思韵(セシリア・チョイ)

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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