大阪アジアン映画祭タイ映画『いばらの楽園』プロデューサーのワンルディー・ポンシッティサックQ&A
Q:同性婚について
ボス監督はテレビドラマ『僕の愛を君の心で訳して』の監督ですが、その時はまだタイで同性婚が法制化されていませんでした。
ですが、この映画が完成した直後くらいに、これから同性婚法案が成立するということが発表されましたから、この映画は同性婚法案成立までの旅のような話になります。
この映画は普遍的な内容にするために、そしてどんな性別の方にも見ていただけるように、ほかの不平等の要素も取り入れました。例えば、女性が受けられるべき権利が受けられなかったり、身分の差や教育の差、地方に住んでいる人たちの権利などの不平等も同時に描いています。
Q:ドリアンを題材にした意図
2日前のQ&Aで、タイ対人はケンカをするときにドリアンを投げるのかという質問がありましたが、これは普通ではなく映画の中の設定です。(場内笑い)
ドリアンはこの映画のシンボル的な存在で、タイでは果物の王様と言われているとても高価な果物です。栽培が難しくて、収穫までに5年かかります。そのような高価な果物をタイの中で一番貧しい地域に植えるということで、葛藤が起こるところが、とても興味深いと思います。
またドリアンは好き嫌いが分かれてて、ホテルによってはその独特の強い臭いから持ち込み禁止というところもあります。ドリアンの形状は外側はとげとげしく、おどろおどろしいのですが、中はとても柔らかくて甘い香りでおいしいです。この映画で描かれる人生は苦くてつらいというのを反映しているとても印象的な果物ということで、ドリアンを使いました。
Q:プロデューサーから見たボス監督の優れたところ
とても情熱的な人で、誰も彼のを情熱とめることはできません。
この映画の制作を始めた頃はまだ同性婚法案が成立していなかったので、彼はこの事を真剣に描きたいと言っていました。そして、観客が見終わった時に何かを残すような作品にしたいと、ものすごい情熱をこめて制作していたので、その姿には涙が出ました。
Q:モーという役について(主人公と農園を取り合うことになる、恋人の義理の妹)
モーは農園主の養女ですが、タイでは法的に認められたものとそうでないものと2種類の養子があります。モーは北部の少数民族の出身で貧しい家庭だったので、養子に出されました。子供といっても半分は面倒を見てくれる人という意味合いもありますから、法的に認められるような権利はありません。だから、養母は財産をあげようなどとは思ったことはありません。愛情はあるけど利用する存在ということで、モーにとっては痛みを感じるような状況でした。
Q:ジェフ・サターを起用した理由
トンカムとモーの役はこの作品のキーになる人物なので、まずモー役のインファー・ワラーハが決まり、トンカムは後から決まりました。私と監督はある番組でジェフを見ていて、彼はもともと歌手ですがどんな性別の人にとっても魅力ある人だと感じました。見た目は華奢でドリアン農園にいるようなタイプではないですが、人生を賭けてドリアン農園を取り返すという闘志を感じさせる役を演じられると思いました。一応オーディションをして演技を見て、私も監督もこの役を演じられるだろうし魅力的だと意見が一致して決まりました。
彼らに同性婚法案について聞いたのは全ての配役が決まってからで、別にこれに同意することが起用の条件ではありませんが、2人とも気にはしないと言ってくれました。
最後に、プロデューサーは「お母さん役のシーダ・プアピモンさんが2日前に亡くなりました。恐縮ですが、彼女の演技に対して拍手をお願いできませんでしょうか」と言い、観客が大きな拍手をもって哀悼の意を捧げました。
『いばらの楽園』
監督:ボス・グーノー
出演:ジェフ・サター、インファー・ワラーハ、ポンサコーン・メーターリカーノン、ハリット・ブアヨイ、スィーダー・プアピモン
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