アジアンパラダイス

東京国際映画祭でも監督が語っていましたが、この物語は2009年に友人の自死に直面したいへんな衝撃を受け、これをデビュー作の映画で描こうと思ったということです。
香港で映画を学んでいた大学時代、一人の友人がなくなりました。自殺でした。死ぬ前に彼に会ったのですが、変わったところは見当たらなかった。ずっと彼のことが頭の中によぎり、抱きしめてあげたいと強く思ったのです。それ以来、自殺に関するニュースをよく目にするようになりました。しかし聞こえてくるのは自殺者に対する非難の声ばかりでした。ようやく監督として映画を撮れるようになったので、この社会問題を探究する物語、そして、その友人の話を語りたいと思ったのです」。

高校教師のチェン役を演じた盧鎮業（ロー・ジャンイップ）は、俳優としても数々の作品に出演していますが、実は監督としてもたくさんの映画を作っています。
中学教師を務めた経験もあるという彼は「当時、生徒に対してチェンと同じ気持ちで接していたことを思い出しました」といい、幼少期の辛い記憶と大人になってもぬぐえない後悔を抱え続ける難役を見事体現。
「チェンは幼少期からたくさん傷付けられたことで、ある種のコンプレックスのような、いわゆる傷の総合体を負っています。脚本を読んだ時は、チェンは旧知の友のような存在だと思いました。撮影中は彼を演じるというより、彼が隣にいるような感覚でした。チェンは様々な傷を負ってきたけれど、ようやく向き合い、第一歩を踏み出そうとします。その足を踏み出すところに焦点を絞って演じました」。

幼少期の兄弟役を演じた黃梓樂（ショーン・ウォン）と何珀廉（カーティス・ホー・パクリム）は、オーディションで抜擢されました。

【STORY】
高校教師のチェンが勤める学校で自殺をほのめかす遺書が見つかる。私はどうでもいい存在だ――幼少期の日記に綴られた言葉と同じだった。彼は遺書を書いた生徒を捜索するうちに、閉じていた日記をめくりながら自身の幼少期の辛い記憶をよみがえらせていく。それは、弁護士で厳格な父のもとで育った兄弟の記憶だ。勉強もピアノも何ひとつできない兄と優秀な弟。親の期待に応える弟とは違い、出来の悪い兄は家ではいつも叱られていた。しつけという体罰を受ける兄は、家族から疎外感を感じ…。

『年少日記』 監督：卓亦謙（ニック・チェク）
出演：盧鎮業（ロー・ジャンイップ）、鄭中基（ロナルド・チェン）、黃梓樂（ショーン・ウォン）
2023年｜香港｜広東語｜95分｜ユニビジウム｜5.1ch｜原題：年少日記｜英題：TIME STILL TURNS THE PAGES 字幕翻訳：小木曽三希子｜配給：クロックワークス｜映倫：PG12
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公式サイト：https://klockworx.com/nensyonikki 公式X：@ klockworxasia<

6月6日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開

※これまでの本作に関する記事
2023/11/13
2023東京国際映画祭 香港映画『年少日記』卓亦謙（ニック・チェク）監督・盧鎮業（ロー・ジャンイップ）Q&A
http://www.asianparadise.net/2023/11/post-7adc4d.html

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