タイ映画『おばあちゃんと僕の約束』大ヒット記念舞台挨拶レポート
日本でも6月13日(金)に公開を迎え、「とにかく泣ける」と本国タイを中心に世界中で記録的な大ヒットを飛ばした『おばあちゃんと僕の約束』。
本作に78歳で映画デビューを果たした脅威の新人ウサー・セームカムさんが来日。6月29日(日)都内・シネスイッチ銀座にて、上映後の舞台挨拶に登壇し、本作への思いや撮影時のエピソードを明かした。
上映後、大きな拍手に迎え入れ登壇したウサーさんは、「コップンカー」と笑顔で挨拶。遠く離れた日本での上映について「日本の皆さんにこの映画を見ていただけることを感動しています。日本が大好きです。気候も良く、木々も綺麗で、人も優しく、神聖な場所。タイに似ていると思います。日本に来るのは3回目ですが、また来ることができて嬉しいです」と喜びを語った。
本作で78歳にして映画デビューを飾ったウサーさんは、「この年齢で、映画の主演になるなんて、夢にも思ってなかったです」とコメント。
国を超えて世界中で大ヒットを収めたことから、“タイで1番有名なおばあちゃん”とも称されており、そんな周囲の反応について「私の家族も、夢にも思っていなかったと思います。この年齢で女優になるなんて。タイだけではなく世界で、みんなから“おばあちゃん”と呼ばれるようになって、嬉しく感じているのではないかなと思います」と照れ笑い。
撮影前には、監督からの提案でワークショップが行われ、そこでエム役を演じる主演のビルキンと初めて会ったという。
タイでは名実ともに大スターのビルキン。「僕のこと知ってる?」と訊かれたが、ウサーさんは「知らなかった」と暴露。「テレビをあまり見ないので、知らなくて、正直に言ったら、苦笑いしていました」と苦笑い。
しかし、ワークショップの時から、ビルキンとは本当の家族のような関係性になったという。
「初めて会ったにもかかわらず、本当の孫のようでした。ビルキンからは“本当のおばあちゃんみたいに感じて自然に演じられた”と言われて、この最初の印象が、映画の中にも出ているんだと思います」と述懐。
「ビルキンは、会うたびにハグをしてくれたんです。たくさん遊びました。かわいくて、いたずらっ子。いじってくるんです。子供たちが遊ぶようなゲームをしたり。おばあちゃんと孫が遊んでいるような感じで、監督やプロデューサーたちからは“なんでこんなに楽しそうにできるんだ?”と不思議に思われていました」と仲の良さをアピール。
一方で、セリフを覚えるのには苦労したともいう。「監督がアイディアを出してくれて、他の人のセリフを音源で録ってあげるから、それに合わせて自分のセリフを覚えたらどうかな?と。それでも全く覚えられず、ノートにセリフを書き留めました。ビルキンのセリフの後に、自分が何を喋るのか。毎日毎晩、セリフを書いて練習して、犬に話しかけたりもしていました」と努力を明かし、続けて「(セリフを)覚えることができたんですが、全員のセリフを覚えてしまって、監督も驚いていました」と驚異のエピソードも披露。
演じたメンジュと自身の性格は違うといい、「私は、すごく楽しい性格の持ち主だと思っています。ダンスをしたり、アクティブな方。一方でメンジュおばあちゃんは、感情を表現しないキャラクター。何か思っていても何も言わない、孫を愛していても好きとは言わない」と説明。「演じる難しさは感じましたが、メンジュおばあちゃんに憑依したかのように演じました」と役づくりへの思いを明かした。
トークの終盤、邦題にちなんで家族とどんな約束をしたいかという質問には、「これまで孫や子供とは約束をしたことないんですが、歳をとったら動けなくなったら面倒をみてくださいと言いたい(笑)」と冗談まじりに回答。「子供たちに求めるものは、何もないです。それが愛なんだと思います」と言い直し、続けて「私が1番大切にしていることは、“give”です。子供を生んで、育てる。その子供に家族ができて、孫の面倒をみる。学校に入って、プレゼントをあげる。愛をあげることを、大切にしています。
これは、家族にしかできないこと。自分が死ぬまでに愛をあげ続けたい」と家族への深い愛情の言葉で締めくくり、温かい拍手に包まれ、舞台挨拶は幕を閉じた。
その後、サイン会も行われ、長蛇の列。ウサーさんの温かくてチャーミングな人柄に魅了され、涙を流す人も。多くのファンに見送られながら、劇場を後にした。
『おばあちゃんと僕の約束』
監督・脚本:パット・ブンニティパット
脚本:トッサポン・ティップティンナコーン
製作:ワンルディー・ポンシティサック ジラ・マリクン
音楽:ジャイテープ・ラーロンジャイ
撮影:ブンヤヌット・グライントーン
編集:タマラット・スメートスパチョーク
出演:プッティポン・アッサラッタナクン(ビルキン)、ウサー・セームカム、サンヤー・クナーコン、サリンラット・トーマス、ポンサトーン・ジョンウィラート、トンタワン・タンティウェーチャクン
2024年/125分/タイ/原題:Lahn Mah/カラー/5.1ch/1.85:1 日本語字幕:小河恵理 後援:タイ国政府観光庁
配給:アンプラグド
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新宿ピカデリーほか全国公開中
※本作に関するこれまでの記事
2025/02/18
タイ映画『おばあちゃんと僕の約束』6月13日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開!
http://www.asianparadise.net/2025/02/post-b0ca84.html
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コメント
今春のOAFFでの泰映画は良かった。(団地、いばら、おばあちゃん)
おばあちゃん主役なら、THELMA(2023)もお勧めです。
投稿: しんや | 2025/07/04 22:55