第21回大阪アジアン映画祭 暉峻創三プログラムディレクターインタビュー!
--色々な事情があっての夏開催ということで、準備がたいへんだったと思います。
オープニングの『万博追跡』は、万博開催時に大阪アジアン映画祭のためにデジタル修復するということを鑑みると、夏開催が決まったのはかなり前ですか?--
結構前から大阪市からじわじわと言われてはいたのですが、決めたのはそんなに前ではないですね。大変なことになっちゃったなとは言っても、実は20年ぐらい前から『万博追跡』はやりたいと思い続けていた映画なんで、良いタイミングかなと思いました。ご存知の通り、台湾でも70年代ぐらいの映画はあまり残ってなかったり、プリントがボロボロだったりするじゃないですか。なかなか本格的にやることにこちらも踏み出せなかったんですけど、1年半前ぐらいですかね。去年の3月がきっかけだったと思うんですけれども、偶然、台湾のフィルムアーカイブの人と香港で会う機会がありました。その時にとりあえず自分としてはデジタルリマスターとか万博会期中の上映とかは全然考えてなく、ただアーカイブの中に『万博追跡』のプリント が残っていないかどうか調べてほしいとお願いしたのです。
あまり期待もしていなかったのですが、なんとプリントはまだあると。すぐに上映できるような状態じゃないけど、一応色とか音声がボロボロになっちゃってるってことはなく、デジタル修復作業ができるぐらいな状態だということがわかりました。私もデジタルリマスターにかかる時間や費用は全然知らないし、多分かなりきついスケジュールだったと思うんですけれども、台湾側にはこの映画の修復計画なんかなかったのに、すべてあちらの経費でデジタル修復 してくれることになったのです。
--すごいですね。--
ほんと。その機動力にも驚きましたし、それで最終的にこれを持って日本に来るって決まったのは、わりと最近なんですよ。本当にまだ2ヶ月前ぐらいまでは間に合うかどうかもわからないぐらいな状況だったのに、ありがたいです。
まぁ、旧作をオープニングにするというのは世界的にも例がないことなんですけれども、今回だったら70年の大阪万博が舞台になっている作品なので十分な名目になるし、どんな新作を上映するよりも、むしろ『万博追跡』をオープニングにしたほうがいいだろうと思いました。大阪アジアン映画祭のために作られたデジタル修復版として、世界初上映となりますから。
--ではこの『万博追跡』をフックに、旧作のデジタルリマスターを多数上映することにしたのですか?--
前回から半年も経っていない開催時期で、9月に釜山国際映画祭、10月に東京国際映画祭が控えてますから、みんなそちらでの上映に期待しますよね。ですから、新作の応募は激減するだろうと思っていました。
そこで、今回は新作よりもクラシックに焦点を当てたプログラムにしようと初期から思ってたんですよね。台湾に限ったことではなく。
そして、台湾のフィルムアーカイブはかなりクリエイティブな事業をしてるんですよね。特に今回改めて気が付いたのは、いわゆる映画史の保守的な評価の基準にとらわれない作品選びをしている。大胆な、映画に対して挑戦的と言えるくらいのチョイスをしていると思います。例えは良くないけれど「台湾巨匠傑作選」的な路線の 、監督としての名声がある作品をセレクトするのではなくて、もちろんそういう作品の修復はやってるいるんですけども、こんなもの修復しちゃっていいのって言うような作品が多い。(笑い)ハチャメチャな映画でさえ修復するみたいなところがあり、アーカイブ活動のクリエイティブさもすごいものだなと思ったんですね。ある意味、台湾映画史の常識みたいなのを覆すっていう新しい発見をさせてくれるようなところが。
さらにもうひとつ世界初上映できる『さようなら十七歳』(オリジナル版:1969 年)という2Kレストア版は、主題歌をジュディオングが歌っていたというすごい共通性もあります。この台湾のフィルムアーカイブがこんな作品を修復してきたのかという成果も見せたいなと思って、今回の小特集<台湾クラシックスとTFAIのレストア成果>にしました。
これまでも断片的にクラシック作品を上映していたんですけども、やっぱりお客さんも出品側も新作をプレミアで披露することを第一に期待している。ご存知の通り、何しろ大阪は上映会場の数が非常に少ない映画祭という特徴もあるんで、クラシック作品は時たま1〜2本入れられるくらいしかできなかったんですけど、今回は新作より旧作の方に脚光を浴びさせたいと考えていました。
--なるほど。--
一般の台湾映画ファンの人の中には新作が長編だと1本しかないじゃないかとか思う人もいるかもしれないんですけど、これまでクラシック作品を見てなかった人も、見てみると、もう台湾映画の昔の豊かさっていうのがすごく分かると思うので、とりあえずはちょっと騙されたつもりで見てほしいなと思います。
--香港の『私立探偵』が追加で決まって、最後に大目玉が来たという感じでしたが、台湾で良くある「シークレット上映」という後出しプレゼント効果になりましたね。
いや、そう言いたいところなんですけども、全然これは不可抗力で仕方がなくそうなったという事情です。(苦笑)
ああ、そういえば今回コンペティション部門で入選した『私たちの意外な勇気』が台北電影節でそういうサプライズでの上映でしたね。
『私立探偵』に関しては、実はこれに限らないんですけれども、今やはり香港映画っていろいろ難しい状況に置かれていて、実は香港の映画会社と我々の映画祭との間ではもうとっくにこれは入選です、出品しますということになっていても、特にここ何年かは中国当局にお伺いを立てなくちゃいけないという状況が生まれているんです。中国の政府側からの許可が出る前に、いくら我々と映画会社の間で合意しているからと言って、こちらから先に発表するわけにはいかないみたいなことがすごく頻繁に起こるんですよ。
中には中国大陸のマーケットでの収入は全然期待していないので、香港の映画会社と我々との間だけの合意で、すんなり昔どおり進めていけるものもありますが。
--今回のプログラミングで達成感を感じた作品は、やはり一番苦労した『私立探偵』ですか?
そうですね。ただ、それ以上に、やっぱりこの台湾のクラシック作品特集が台湾の人たちのやる気とか努力とジュディ・オングさんの献身的な協力があってこそ実現できたというところがすごく大きいので、自分も力を入れたし、やりがいを感じたところの一つです。
だから今回上映する台湾クラシック映画の監督って、日本ではまだほとんど知られてない人ばかりだけど、実際に見ていただくともう面白い映画ばかりなので、いずれは「台湾巨匠傑作選」に入ったり、あわよくば単独でロードショーもされるとか、そうなっていくといいなと思ってます。
≪第21 回大阪アジアン映画祭概要≫
名称:第21 回大阪アジアン映画祭(Osaka Asian Film Festival EXPO 2025 – OAFF 2026)
会期:2025年8月29日(金)〜9月7日(日)(10 日間)
上映会場:ABC ホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館、大阪市中央公会堂
公式ウェブサイト https://oaff.jp
公式Instagram @osakaasianfilmfestival
公式X @oaffpress
主催:大阪映像文化振興事業実行委員会(大阪市、一般社団法人大阪アジアン映画祭、大阪商工会議所、公益財団法人大阪観光局、
朝日放送テレビ株式会社、生活衛生同業組合大阪興行協会、株式会社メディアプラス)
■上映スケジュール
上映スケジュールは、公式HP スケジュールページをご覧ください。
https://oaff.jp/en/schedule/2025expo-schedule/
■チケット情報
8 月20 日(水)より順次発売。詳細は公式HP をご覧ください。
■INFORMATION
上映作品のポスター展や映画ワークショップ、連携企画の上映会など多彩なイベントも実施します。詳細は公式HP をご覧ください。
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
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