映画『メイメイ』完成披露上映レポート
これまでに橋口亮輔、矢口史靖、李相日、荻上直子、石井裕也ら、現在活躍する監督たちのデビュー作を送り出してきたPFFプロデュース。その最新作となる本作を撮った蘇鈺淳監督は、『豚とふたりのコインランドリー』でPFFアワード2021審査員特別賞を受賞し、2024年には東京藝術大学大学院映像研究科修了制作である『走れない人の走り方』が劇場公開されるなど、いま最も注目を集める新進監督。
台湾でともに人気俳優として注目を浴びる王渝萱と王渝屏は実の姉妹であり、劇中でも姉妹役を演じている。
映画上映後、ステージに登壇した蘇鈺淳監督は、大勢の観客で埋まった会場内に緊張の面持ち。そんな中、主人公のユェンメイと、姉のフイリンを、実の姉妹である俳優、王渝萱と王渝屏が演じていることについて、「最初は姪っ子とおばさんの話だったんですが、途中から姉妹にした方が色んな感情が描きやすいかなと思って、途中から姉妹に変えました。そこから主演の二人、本当の姉妹のキャスティングが決まりました」と明かした。
王渝萱、王渝屏姉妹のことは以前から知っていたとのことで、「もともと彼女たちは友人の映画に出ていたので知っていました。わたしは映画できょうだいを演じる方たちを観るたびに、なんかこの二人(の俳優)は似てないなと映画に集中できなくなることもあったのですが、二人のことはもともと知っていましたし、今回はお芝居の話なので、ぜひお二人にお願いしたいと思い、そこからお姉さん役の年齢設定を変えたりしました」と明かした。
この日、完成した映画を鑑賞したばかりだという王渝萱は、「撮影中、どのシーンも結構長く回していたので、映画は想像していた通りでした。ただ、姉のシーンがどんな風になっているのかは、台本上でしか分からなかったので、今日実際に作品を観て、二人の関係がどういうものかが非常によく分かり、とても嬉しかったです」と笑顔を見せた。
姉の王渝屏も「わたしもこの作品を今日はじめて観たのですが、今までずっと考えてきたことが、一つにつながった気がしました。このような形で実の妹と一緒に作品をつくることができたのは、貴重でありがたい経験でした。実際の妹と撮っているけれど、むしろ現実じゃないような感じもして、参加できて光栄でした」と晴れやかな顔を見せた。
日本と台湾のスタッフ・キャストが入り混じる本作は、中国語、英語、日本語のセリフが混在。登壇した監督とキャスト陣は中国語でコミュニケーションがとれたため、水間ロンも「僕は劇中ではまったく(中国語を)喋らなかったですが、監督とフイリン、ユェンメイたちとのコミュニケーションの上ではすごく良かったなと思ってます」と振り返る。
助監督の富田を演じた水間ロンは、スタッフとのコミュニケーションにおいて、撮影前に浅井大智と確認することがあったという。「僕らが中国語だけで話すと、現場の(日本人)スタッフやキャストが一緒になれないのではないかと懸念していました。だから、監督を交えてほかのスタッフと一緒にいる場では、僕らはできるだけ日本語で話すようにしようと決めていました」。
そんな中、姉フイリンの夫・ジーピンを演じた浅井大智は、「僕は言語というよりも、リアルな姉妹である二人の間に“夫”として入っていかなくてはいけないことに苦労しました。やはり二人には今まで歩んできた関係性やコミュニケーションの取り方が映画にそのまま出ているので。二人の中で成立しているものの中に、僕がセリフで入るのはすごく大変でした……ね、監督」と蘇鈺淳監督に呼びかけると、監督も「大変でした」とひと言。思ったよりあっさりとした監督の言葉に「それだけ?」とボヤく浅井大智の姿に、会場も大いに沸いた。
王渝萱が演じるユェンメイは、故郷の台湾を離れ、日本で俳優として活動中という設定。劇中では、日本語を話すシーンも多かったため、「日本語、難しい!」と告白し、会場は大笑い。「クランクインする1カ月ぐらい前から日本語の勉強をはじめました。最初にひらがなを覚えてから、1カ月という時間の中でセリフをすべて覚えなければいけなかった。その中で正しい日本語が話せているだろうか、こういう演技で良いんだろうかと、いつも心配しながら演じていました。決して簡単ではありませんでした」と振り返ったが、姉の夫役をつとめた浅井大智は「日本語のセリフをあれだけナチュラルにやられてたのは、本当にすごいなと思いました」と王渝萱を称賛するひと幕があった。
また日本と台湾の撮影スタイルについて、違いを感じていたという王渝屏。「やはり日本には、わたしが台湾で経験してきたものとはまったく違う映画文化があるなと思いました。特に撮影初日は、リハーサルがどこまでいっているのか、どこからが本番なのかが掴めないところもあったんですが、だんだん撮影が進んでいくにつれて、現場の雰囲気に慣れていくことができました」と語ると、「日本語が全然できないという役柄なんですが、不幸なことに去年から日本語の勉強を始めていて。実はもう5~6割ぐらいは分かるんです。でも日本語が分からない役だったので、少しの間、日本語の勉強はやめていました」と明かし、会場を沸かせた。
以上、公式レポートより。
この映画では、繊細に描かれる姉妹の心模様と周りにいる人々達との時にコミカルな交流が写し出され、ラストはとてもさわやかで心地よく、"いい作品見たなぁ"と思いました。
王渝萱は『ガッデム 阿修羅(原題:該死的阿修羅)』や『小藍』など個性的なキャラクターが多かったのですが、本作のナチュラルな役もとても魅力的。
日本映画だけど台湾映画の香りがいっぱいの本作、公開はまだ先になりそうですが、ぜひ多くの方に見ていただきたい映画です。
『メイメイ』
監督:蘇鈺淳(スー・ユチュン)
出演:王渝萱(ワン・ユーシュエン)、王渝屏(ワン・ユーピン)、朝井大智、水間ロン、門田宗大、高妍(ガオ・イェン)、森下能幸
2025年/日本/102分 <第30回PFFプロデュース作品>
<言葉はなくてもわかってほしい…家族だから>
母国を離れて日本で俳優をする妹と、台湾の大企業で働く姉。歳が離れ、性格も似ていないふたりの心の隔たりを、実の姉妹である台湾の俳優のふたりが日本を舞台に演じる。自身も台湾から日本に移り住んだ蘇鈺淳監督が家族関係をベースに、コミュニケーションの不確かさや人と人とのつながりの不可思議さを描く。
※これまでの本作に関する記事
2025/09/12
『メイメイ』完成披露上映 台湾から注目の姉妹が来日決定!
http://www.asianparadise.net/2025/09/post-8e5240.html
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