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2025/12/09

舒淇(スー・チー)監督『女の子(原題:女孩)』インタビュー

1129xuqi2 初監督作品『女の子(原題:女孩)』が第26回東京フィルメックスで上映され、来日した舒淇(スー・チー)がQ&Aやトークイベントに登壇、さらに各メディアの取材も受けました。
本作は自身の少女時代の体験を着想源とし、長年の演技経験と人生観を織り交ぜて一人の女性の成長を描き、ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門、トロント国際映画祭フォーカス部門に選出された後、第30回釜山国際映画祭で監督賞を受賞という快挙。
出演は、邱澤(ロイ・チウ)、9m88、白小櫻(バイ・シャオイン)、林冰桐(リン・ピントン)ほか。初監督を支えるスタッフは、摄影の余静萍(ユー・ジンピン)、編集は張叔平(ウィリアム・チョン)、音楽に林强(リン・チャン)という鉄壁の面々となっています。

※画像はクリックすると別ウィンドウで拡大表示します

1129xuqi4 俳優としては、香港映画『夢翔る人 色情男女(原題:色情男女)』、『美少年の恋』、『ガラスの城(原題:玻璃之城)』、台湾では映画『ミレニアムマンボ(原題:千禧曼波)』、『百年恋歌(原題:最好的時光)』、『黒衣の刺客(原題:刺客聶隱娘)』などの侯孝賢(ホウ・シャオシェン)作品、リュック・ベッソン製作の『トランスポーター』ほか数々の作品で国際的に活躍する舒淇ですが、監督をすることになったきっかけは、2013年の『黒衣の刺客』の撮影現場で恩師である侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督からのひと言だったと、Q&Aやトークイベントで語っています。

公式Q&Aレポート
https://note.com/tokyofilmex/n/nb3e9d24c4cef

俳優業の合間を縫って脚本を書きはじめ、その過程ではエンディングをどうするかなど色々悩み、時には侯孝賢監督に聞いたり、アドバイスをもらったこともあるそうです。そうして10年近くかけて脚本を書き終え、2024年に映画は完成しました。
ご覧になった方はよくおわかりだと思いますが、本作には侯孝賢監督の影響が色濃く出ています。
「長く出演させていただいてきましたから、父というか、常に導いていただいた存在なので、それがなければ今回の成果はないと思います。侯孝賢監督のエッセイ風の表現に似てセリフが少なかったり、赤い風船が出てくるのも深く影響を受けているところです」と、語りました。

1129xuqi3 舒淇は侯孝賢監督の他にも多くの優れた監督と仕事をしていますが、「多くの監督から影響を受けています。お陰でその現場経験は製作がスムーズに進行する事に役立っています。私は一番年上の新人監督で初めてとは言え、伝え方にはかなり自分の思いがありまいす。私自身のスタイルというのは、女性という立場の中で痛みとかストレスとか、そういう感覚の中で幻想的なものが生み出せると考えていて、現実的なものではなくもっと抽象的で創造的な映画となっていると思います。これが私のスタイルかなと考えています。」と、確固たる信念を持っていることも明らかにしていました。

1129xuqi5 キャスティングについても公式Q&Aレポートにありますが、インタビューでは少女の父親役についてこのように語りました。
「この役は恐怖感を与える人物ですが、観客に嫌われないような格好良くてハンサムな人にしたいなと考えました。そうして一番最初に思い浮かんだのが、『先に愛した人(原題:誰先愛上他的)』や『君が最後の初恋(原題:當男人戀愛時)』の邱澤(ロイ・チウ)です。脚本を送って2日後には快諾してくださり、とても嬉しかったです。彼に決めたことは成功でした。」

母親役の9m88は台湾を代表するネオソウル/R&B/ジャズシンガーですが、邱澤と共演した『つかみそこねた恋に(原題:我沒有談的那場戀愛)』(2021年)から俳優としても活躍しており、先日金馬奨で4冠を制した「大濛』や、東京国際映画祭で上映した『ダブルハピネス(原題:雙囍)』ほかでもメインキャストをつとめる売れっ子です。
インタビューでこの母親役を監督が演じても良かったのでは?という質問には、「年代もあり、どうやって育てて良いかわからないまま子供を産んでしまったという役なので、年を考えると私ではないかなと思います」と、答えていました。

1129xuqi1 俳優達への演出については、トークイベントで「30年のキャリアがありますから、現場での俳優についてよくわかっています。私が演技の手本を示したらプレッシャーになってしまうので、それは一切しませんでした」と言っていました。
そして、インタビューでは「侯孝賢監督から登場人物の流動的な関係性を学んだので、俳優達には枠にはまらずに自由に動いてもらいました」と語っていたので、きっと俳優達も気持ち良く演技ができたのではないかと想像します。

また、気になる次回作については「監督は本当に難しくてたいへんです。ですから、もし実行するにしても数年後になるでしょう」と言っていました。
今回の初監督に際し、侯孝賢組をはじめ経験豊富で優れた盤石のスタッフたちのサポートがあったとはいえ、舒淇の経験とセンスにより見事な出来映えになっていると思います。
数年後とは言わず、早く新たな世界を私たちに見せてくれることを楽しみにしています。

(インタビュアー:杉山亮一 文:江口洋子)

『女孩』
1021girl <ストーリー>
1988年の基隆、時代の変遷による混沌の中、少女(白小櫻)は出口の見えない暗闇から抜け出すことを切望していた。ある日、恐れを知らず、自由に生きるリリー(林品彤)と出会い、初めて色彩豊かな世界を目にすることができた。
少女の母(9m88)もまた、かつて未来に希望を抱きながらも厳しい現実にもがく過去のトラウマにとらわれていた。互いの運命を映し出す鏡のように、ふたりの痛みを映し出しながらも、何もできないままの少女とは母親は…。

監督:舒淇(スー・チー)
出演:白小櫻(バイ・シャオイン)、9m88、邱澤(ロイ・チウ)、林品彤(オードリー・リン)
台湾で10月31日より公開

※本作に関するこれまでの記事

2025/10/21
第26回東京フィルメックス全上映作品ラインナップ発表!コンペに舒淇(スー・チー)初監督作!
http://www.asianparadise.net/2025/10/post-de888b.html

2025/09/28
舒淇(スー・チー)釜山国際映画祭で初監督映画『女孩』最優秀監督賞受賞!
http://www.asianparadise.net/2025/09/post-da4809.html

2025/07/23
舒淇(スー・チー)初監督映画『女孩』2025ヴェネチア国際映画祭にノミネート!
http://www.asianparadise.net/2025/07/post-9d22ab.html

2024/09/18
【台湾映画】舒淇(スー・チー)初監督作品『女孩』クランクアップ、2025年公開予定!
http://www.asianparadise.net/2024/09/post-63993d.html

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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