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2026/01/14

台湾映画『サリー』練建宏(リエン・ジエンホン)監督インタビュー

0311lian2 1月16日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開する台湾映画『サリー』の練建宏(リエン・ジエンホン)監督にインタビューしました。
監督は1982年生まれ、大学の放送・映画学部で学び、プロデューサーからキャリアをスタートさせました。
監督としては2012年に短編第一作が金穗獎(台湾の短編映画アワード)にノミネートされ、2017年に作ったテレビ映画が、金鐘獎で他部門にノミネート。
本作が長編第一作で、釜山国際映画祭に出品、第19回大阪アジアン映画祭で「来るべき才能賞」を受賞しています。

※画像はクリックすると別ウィンドウで拡大表示します

監督は今回ロマンス詐欺事件の報道がきっかけでこの映画を作ろうと思われたそうですが、一方で女性の成長物語でもあるので、この成長物語としての構成上、どんなところに一番こだわったのでしょうか。

もともと国際ロマンス詐欺のニュースを知ったことから始まりましたが、実際こういう被害に遭った女性の立場だとどういう感じなんだろうというのを、きちんと理解したいと思いました。
脚本家の劉梓潔(エッセイ・リウ)と、この被害にあった女性をどのように解釈していくか、どういう人物を作り上げていくかということが一番重要でした。そこは女性である脚本家と主演の劉品言(エスター・リウ)の感覚に注視して意見をかなり取り入れ、人物像を作り上げていきました。撮影の時も、迷うことがあれば直接エスターに、こういう状況になったらどのような態度をとるか、どう思うかということを聞き、脚本を修正していきました。だから、一番こだわっていたのは、この主人公の気持、思いをどのように表現するかということですね。

劉品言の存在が大きかったことが、監督のお話を聞いてわかりました。監督は構想や脚本の段階から劉品言をイメージをしていたのですか?

いえ、最初から劉品言を起用したいとは思っていたわけではなく、主人公は40歳ぐらいの女性とイメージしていたものですから、台湾でそれぐらいの年齢の俳優を探していたものの、なかなかピッタリの方が浮びませんでした。そんな中で色々な方と会ううちで劉品言と会う機会ができました。
彼女は、ちょうど話題になったドラマが終わったばかりで、漁村から台北にやってきたという設定の役だったのです。その時の彼女の演技がとても良くて、もしかしたらこのサリーにピッタリなのではないかと思いました。そこでオファーを出して、このサリー年齢を40代から劉品言の実際の年齢に近づけるように脚本自体を修正していきました。

ほかにも脚本の変更点があったんでしょうか?

主人公サリーと林柏宏が演じた弟、そして姪、母親、という4人は大事な人物なので、なるべくこの脚本の骨格は動かさないようにしたいと思いました。というのは、それぞれ人物の中に、私自身の個性を反映させてありましたから。そして彼らをクランクインの約1か月ぐらい前に、新たに練った脚本に基づいて、一度読み合わせをしてストーリーをよく理解してもらいました。そしてこのメンバーなら、自然に演じられるのではないかと思うようになりました。林柏宏の農作業や草刈、養鶏場で卵を回収するなど自然な様子を見て、かなりの部分を俳優たちに任せられると思いました。

その任せた中で、一番大きなエピソードはどんなシーンですか?

ご飯を食べるシーンですね。劉品言と林柏宏、湯詠絮(タン・ヨンシュイ)、この3人が一緒にご飯食べるシーンは、特にセリフを決めずに、3人には自由に普通の家庭の会話にトライしてもらいました。
私は彼らからいったいどういう言葉がでてくるのか、じっと後ろで待っていたのですが、これがとても面白いと思いました。

そしてメインキャストの中で李英宏(リー・インホン)はミュージシャンということで、今回もちろん音楽も担当されていますが、俳優として起用されて、いかがでしたか?

彼はこの役にとても合うのではないかと感じたわけですが、まさかこんなコメディーをやれるというのはとても意外でした。彼はなかなか他の人にはない妙なユーモア感があります。このユーモアのリズム、彼が醸し出すこの役の雰囲気にとても満足し、良かったなと思いました。彼が台北映画祭で助演男優賞にノミネートされたのは、僕だけでなく、他の人も彼の演技を高く評価したという証拠だと思いました。

新人の湯詠絮、彼女の今後について、どういう俳優さんになってほしいとか、こんな未来が開けるのではないかなど教えていただけますか。

彼女のお父さんはとても有名なサウンド・ディレクターで監督でもある方です。しかし、なぜか彼女は全くお父さんに頼らずオーディションを受けに来ました。決して七光りでこの役を勝ち取ったのではないのです。当時彼女は高校生でしたが、私たち映画人と話す内容が豊かで、いろいろ面白いことを言うので、妹のような親しみやすさがありました。そしてこの役を演じ終わってから、自分はとても演技が好きだということを自覚したそうなのです。また、林柏宏は彼女たちにとっては大スターのアイドルでもあるので、彼と一緒に演技が出来たということを同級生たちに羨ましく思われたそうです。それもあって彼女は台北芸術大学に入り、今演技科で学んでいます。
まだ学生ですが、今回の映画で自分が持っているものをちょっと芽生えさせたわけです。今後色々と演技の勉強をしていく彼女の成長を、娘のように見守りたいと思います。これから色々な役にチャレンジして欲しいですね。

では最後に、監督が今後取り上げていこうと思ってるテーマ、創作におけるポリシーについてお話していただけますか?

これからは映画にせよドラマにせよ、自分が取り上げるテーマとしては、やはり人と人との心の通い合いということを描いていきたいと思っています。そういうことを描くのが自分は得意でもあり、また大好きな分野だと感じています。作品が出来上がった後で、観てくださった観客の皆さんとコミュニケーションする時にまた感想なり意見がフィードバックされてくることは自分にとっても嬉しく、勉強になることなので、そういう作品を撮っていきたいと思ってます。

『サリー(原題:莎莉)』
1128salli2 監督:練建宏(リエン・ジエンホン)
出演:劉品言(エスター・リウ)、林柏宏(リン・ボーホン)、李英宏(リー・インホン)、楊麗音(ヤン・リーイン)、湯詠絮(タン・ヨンシュイ)
2023年|台湾・フランス|105分|中国語・英語・フランス語|原題:莎莉|
協力:大阪アジアン映画祭|後援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
© 2023 ENLA Media Limited, The Graduate Co., Ltd., Bole Film Co., Ltd. and Lien Chien Hung All Rights Reserved
配給・宣伝:アニモプロデュース
公式サイト:https://animoproduce.co.jp/salli/

<ストーリー>
姪のシンルー(タン・ヨンシュイ)からマッチングアプリを勧められ、「サリー、28歳」と年齢を詐称して始めてみたフイジュンは、パリで画廊を経営する男性マーティンと出会って求愛され、「いつか絶対パリへ行く」と心に誓う。しかし弟ウェイホン(リン・ボーホン)や周囲からだまされていると忠告され、フイジュンは不安を募らせ、苛立つ。続いて「可能性は、1%でも。」というコピーと「答えは自分で見つけてみないと」という台詞とともに、パリにやって来たフイジュンの姿が。一歩踏み出したフイジュンがパリで見つけたものとは⋯?

2026年1月16日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。

※本作に関するこれまでの記事

2026/01/11
台湾映画『サリー』湯詠絮(タン・ヨンシュイ)インタビュー
http://www.asianparadise.net/2026/01/post-f20c5d.html

2026/01/05
台湾映画『サリー』林柏宏(リン・ボーホン)インタビュー
http://www.asianparadise.net/2026/01/post-44c876.html

2024/03/25
Podcast 大阪アジアン映画祭 台湾映画『サリー』の練建宏(リエン・ジエンホン)監督アフタートーク
http://www.asianparadise.net/2024/03/post-06d18f.html

2025/11/28
台湾映画『サリー』1月16日公開決定!
http://www.asianparadise.net/2025/11/post-e6552f.html

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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コメント

クレジットでの「〇〇」を見逃すな。
フルーツです。

投稿: しんや | 2026/01/30 19:25

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